闇夜を疾走するマスタング、暴かれた政界の深き闇。
2017年版
第32位
29
点
亡者たちの切り札 ➔
バブル経済の崩壊によって巨額の負債を抱え込み、荒涼とした気分で67年型マスタングを走らせていた自動車修理工の氏家豊。彼は夜の街で何者かに拉致された旧友・五十嵐の娘を命がけで救出するが、その直後から自らも底知れぬ陰謀の渦中へと引きずり込まれる。不正融資を強要された末に失踪した五十嵐、そして愛車の持ち主である赤坂の料亭女将にも次々と魔の手が及び、事態は政治の闇と結びついた巨大な犯罪へと発展していく。時代の光と影を背負った男たちの孤独な戦いを描くハードボイルド巨編。
💡 おすすめポイント・見どころ
バブル崩壊直後の殺伐とした空気感を背景に、疾走するアメ車とともに闇社会の奥深くへと突入していく男たちの姿が圧倒的な筆力で描かれています。単なる犯罪サスペンスにとどまらず、時代のうねりに翻弄されながらも己の矜持だけは手放さない人間たちの泥臭い生き様が、ハードボイルド小説としての深い余韻を残します。ページを開いた瞬間から映画的なスピード感で展開される圧倒的な臨場感と、容赦なく突きつけられる人間の業の深さに心から酔いしれてください。