『このミステリーがすごい!』非公式サイト 【このミスまとめ】

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『このミステリーがすごい!2017年版』国内編 DOMESTIC RANKING

2017年版ガイドブック

年度総評・見どころ

第1位に輝いたのは竹本健治『涙香迷宮』!連城三紀彦の未完作を完成させた、まさに奇跡の本格ミステリです。第2位には、若竹七海の「葉村晶シリーズ」最新短編集『静かな炎天』がランクイン。安定の読み応えが魅力です!そして第3位には、米澤穂信の深遠なる短編集『真実の10メートル手前』。米澤作品らしいビターな読後感がたまりません。

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涙香迷宮
第 1 位 129

涙香迷宮

明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久です。「いろは歌」四十八首を挑戦状に見立てた空前絶後の大暗号が仕掛けられています。そこに隠された謎を解読するとき、天才しかなし得ない日本語の奇蹟が鮮やかに現れます。日本語の豊かさと深さをあらためて知る言葉のミステリーを体験できます。
💡 おすすめポイント・見どころ いろは四十八文字を一度ずつすべて使うという、日本語の技巧と遊戯性を極限まで高めた設定が圧巻です。高度な知能戦が展開されるだけでなく、言葉そのものが持つ無限の可能性と美しさに深く酔いしれることができます。暗号ミステリの枠を超えた圧倒的な言語遊戯の世界へ引き込まれます。
静かな炎天
第 2 位 126

静かな炎天

バスとダンプカーの衝突事故を目撃した晶は、死亡した女性の母からバッグが消えたという相談を持ちかけられます。かつてのひき逃げ事件の調査や、熱海での作家失踪の謎など、不運な女探偵・葉村晶のもとに次々と複雑な依頼が舞い込みます。次々に起こる事件の裏に隠された真実を、タフな彼女が独自のユーモアを交えながら鮮やかに追いかけていきます。
💡 おすすめポイント・見どころ どんなに過酷な苦境に立たされても決してへこたれず、軽やかなユーモアを忘れない主人公のキャラクターが最大の魅力です。各章を彩るユニークなミステリの薀蓄や、細部まで張りめぐらせた伏線が物語に深い奥行きを与えています。苦難を乗り越えるたくましい姿に勇気をもらえます。
真実の10メートル手前
第 3 位 122

真実の10メートル手前

高校生の心中事件である恋累心中をめぐり、週刊深層編集部の都留とフリージャーナリストの大刀洗が取材を開始します。しかし、次第に事件のありように奇妙な違和感を覚え始めます。滑稽な悲劇やグロテスクな妄執を前にして、大刀洗はいったい何を考えているのでしょうか。己の身に痛みを引き受けながら真実を直視するジャーナリストの姿を描きます。
💡 おすすめポイント・見どころ 人間の内面に巣食う醜さや悲しみに正面から向き合う、重厚な人間ドラマの描写が際立ちます。事件の真相を暴くだけでなく、ジャーナリストとしての倫理や覚悟を鋭く問いかける姿勢が心を深く打ちます。一筋縄ではいかない人間の業を浮き彫りにする筆致が光ります。
半席
第 4 位 116

半席

御家人から旗本への出世を目指す若き徒目付の片岡直人は、不可解な事件にひそむ真の動機を探り当てる御用を上役から命じられます。職務に精勤してきた老侍がなぜ刃傷沙汰を起こしたのでしょうか。歴とした家筋の侍がどうしても堪えきれなかった思いとは何だったのでしょうか。意外な真相が浮上したとき、人知れずもがきながら生きる男たちの姿が照らし出されます。
💡 おすすめポイント・見どころ 武家社会の厳しさと、そこに生きる人々の細やかな心情がリアリティたっぷりに描かれています。単なる事件の謎解きにとどまらず、男たちの人生観や生き様を静かに見つめる視線がとても温かいです。静かな感動を呼び起こす珠玉の武家小説に仕上がっています。
許されようとは思いません
第 5 位 88

許されようとは思いません

入社三年目の夏、営業成績を大きく上げた修哉は上司に褒められて誇らしい気持ちに包まれますが、売上伝票を見返して全身が凍りつきます。本来の注文の11倍という凄まじい誤受注をしていたのです。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家など、人々の心に潜む暗い闇を巧緻なミステリーへと昇華させています。
💡 おすすめポイント・見どころ 日常のふとした瞬間に訪れる狂気や、誰もが抱える心の闇を鋭い洞察力で浮き彫りにしています。予想の斜め上をいく結末の数々が、読者に強烈な衝撃と深い余韻をもたらします。人間の複雑な心理を見事にミステリーの構造へと落とし込んだ手腕が光ります。
リボルバー・リリー
第 6 位 85

リボルバー・リリー

幣原機関で訓練を受け、東アジアで数々の殺害に関与した冷徹非情な美しき諜報員・小曽根百合。リボルバー・リリーと呼ばれた彼女は、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・細見慎太と出会い、帝国陸軍の精鋭1000人から追われることになります。関東大震災後の帝都を舞台に、たった2人による圧倒的な六日間戦争の逃避行が始まります。
💡 おすすめポイント・見どころ 圧倒的なスケールで描かれるノンストップのアクションと、緊迫感あふれる銃撃戦の描写に目が離せません。冷徹な凄みと優しさを併せ持つ主人公の圧倒的なカッコよさが物語を力強く牽引しています。最初から最後まで一気に読ませる超弩級のエンターテインメントです。
罪の声
第 7 位 82

罪の声

京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品からカセットテープと黒革のノートを発見します。テープを再生すると、31年前に発生した未解決のギン萬事件で恐喝に使われた音声と全く同じ、自分の幼いころの声が聞こえてきます。昭和最大の未解決事件の真相を追う新聞記者と男が、歴史の闇の果てへとたどり着きます。
💡 おすすめポイント・見どころ 綿密で圧倒的な取材に基づいたリアリティが、フィクションであることを忘れさせるほどの説得力を持っています。未解決事件の当事者やその家族が背負う十字架を真摯に描き出し、大きな感動を生み出しています。社会派ミステリーの金字塔として長く語り継がれるべき重厚な大作です。
おやすみ人面瘡
第 8 位 81

おやすみ人面瘡

全身に脳瘤と呼ばれる顔が発症する奇病、人瘤病の感染爆発があった海晴市で、2人の患者が何者かに殺害される事件が発生します。事件の容疑者はなんと中学生4人でした。現場に残された謎を解き明かすべく、探偵が鮮やかな推理を次々と披露していきますが、事態は思わぬ方向へと転がっていきます。
💡 おすすめポイント・見どころ 特殊な世界観を舞台に繰り広げられる、緻密でロジカルな謎解きが見事に決まっています。一見すると奇抜な設定の中に、読者をあっと言わせる巧妙なトリックが幾重にも張りめぐらせてあります。最後まで油断のならない展開が続く本格ミステリーの醍醐味を存分に味わえます。
希望荘
第 9 位 78

希望荘

妻の不倫による離婚と仕事の喪失という絶望を味わった杉村三郎は、私立探偵としての道を歩み始めます。ある日、亡き父が生前に人殺しをしたと告白したという真偽の調査依頼が舞い込みます。35年前の殺人事件の関係者を調べていくうちに、昨年に起きた女性殺人事件を解決する驚きのカギへと繋がっていきます。
💡 おすすめポイント・見どころ 人生のどん底から這い上がろうとする主人公の姿が、人間味あふれる筆致でリアルに描かれています。過去の事件と現在の事件が複雑に絡み合う構成が非常に巧みで、ページをめくる手が止まりません。現代社会の暗部を鋭くえぐり出す宮部ミステリーの真骨頂に触れることができます。
ジェリーフィッシュは凍らない
第 10 位 74

ジェリーフィッシュは凍らない

特殊技術で開発された小型飛行船ジェリーフィッシュの長距離航行試験に臨んだ発明者たち。しかし、閉鎖された艇内でメンバーのひとりが無残な死体となって発見されます。さらに自動航行システムが暴走し、試験機ごと雪山という絶望的な状況に閉じ込められてしまいます。脱出の術がない極限状態の中、次々と犠牲者が生まれていきます。
💡 おすすめポイント・見どころ 雪山の閉ざされた密室という王道のシチュエーションで展開される、極限の頭脳戦が大きな魅力です。21世紀の『そして誰もいなくなった』と称されるにふさわしい、緻密に計算し尽くされた本格ミステリーの構造が光ります。予測不能な展開の連続に最後まで目が離せません。
聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた
第 11 位 67

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた

聖女伝説が伝わる里の婚礼の場で、盃を回し飲みした出席者のうち、毒死した者と助かった者が交互に出る「飛び石殺人」が発生します。不可解な毒殺は祟り神として祀られた聖女による奇蹟なのでしょうか。探偵の上苙丞は、人の手による犯行の可能性を数多の推理と論理で次々と否定し、「奇蹟の実在」を証明する挑みへと踏み出していきます。
💡 おすすめポイント・見どころ 人間の手による犯行を徹底的に否定し、神の奇蹟の存在を証明するという逆転の発想がユニークです。前代未聞の不可能犯罪に挑む探偵の圧倒的なロジックの応酬に、本格ミステリファンなら誰もが夢中になります。
挑戦者たち
第 12 位 65

挑戦者たち

失われたと言われる時代にも、誰にも知られず輝く無名の人々がいました。本書は新しい価値を生みだすために泥臭くひたむきに働いた挑戦者たちの物語を描きます。国産EVの開発秘話や隠岐の離島再生、心臓・血管修復パッチの命のドラマ、スパコン「京」に挑んだ技術者たちの軌跡をたどりながら、困難を乗り越えるための大切なメッセージを伝えてくれます。
💡 おすすめポイント・見どころ 華やかな表舞台の裏で、あきらめずに挑戦を続けた人々のリアルな苦闘が生々しく描かれています。技術革新のドラマを通じて、仕事に対する向き合い方や前に進むための勇気が自然と湧いてくるのが魅力です。
望み
第 13 位 62

望み

年頃の息子と娘を育てながら平穏に暮らしていた石川夫妻は、息子の規士が帰宅せず連絡が途絶えたことから動揺します。警察に相談した矢先、息子の友人が殺害されたという知らせを受け取り、一登は胸騒ぎを覚えました。逃走中の少年は二人ですが行方不明者は三人であり、息子は犯人なのかという疑問が浮かびます。無実を望む父と犯人でも生きていてほしいと願う母の揺れ動く思いを描いた、心に深く突き刺さるサスペンスミステリーです。
💡 おすすめポイント・見どころ 家族が犯罪に直面したとき、倫理観と身内への愛情の間で引き裂かれる親の心理描写が生々しいです。極限状態における人間の葛藤を通じて、家族のあり方や罪と向き合う意味について深く考えさせられます。
パイルドライバー
第 14 位 58

パイルドライバー

神奈川県の閑静な住宅街で、15年前の未解決事件と酷似したピエロの化粧が施された遺体が見つかる一家惨殺事件が起きます。退職を考えている刑事の中戸川俊介が現場に向かうと、15年前の事件を捜査していた「パイルドライバー」の異名をとる元刑事の久井重吾が現れました。アドバイザーとなった久井と共に捜査を開始した矢先、犯人と名乗り出た男が殺害されてしまいます。次々と浮かび上がる謎と予想を超えるラストが待ち受ける本格警察小説です。
💡 おすすめポイント・見どころ ベテラン元刑事と若手刑事のコンビネーションが事件の真相に迫る過程がスリリングです。過去と現在の事件が複雑に絡み合う構成の巧みさと、予測を裏切る展開の連続に最後まで目が離せません。
誰も僕を裁けない (講談社ノベルス ハG- 4)
第 15 位 47

誰も僕を裁けない (講談社ノベルス ハG- 4)

「援交探偵」上木らいちの元に名門企業の社長からメイドとしての雇用を申し出る手紙が届き、彼女は東京都にある異形の館へと向かいます。館では社長夫妻と子供らが暮らしていましたが、そこで連続殺人が発生してしまいます。一方、埼玉県に住む高校生の戸田公平は資産家令嬢の埼と出会い、深夜に招かれた家で逮捕されてしまう事態に直面します。法とは何か、正義とは何かを問いかけながら驚愕の真相へと突き進むエロミスと社会派を融合させた渾身の作です。
💡 おすすめポイント・見どころ 一見すると異色な設定でありながら、法と正義の本質を鋭く突く社会派としての側面を強く持っています。エキセントリックな世界観と緻密なロジックが絶妙なバランスで融合し、読者に強い衝撃を残します。
虹を待つ彼女
第 16 位 46

虹を待つ彼女

2020年、研究者の工藤賢は死者を人工知能化するプロジェクトに参加し、自らを標的にして自殺した美貌のゲームクリエイター水科晴のモデル化に挑みます。人工知能の完成に向けて調べていくうちに工藤は晴に共鳴し惹かれていすが、彼女に恋人がいたことを突き止めた途端に何者かから脅迫を受けるようになります。極上の謎解き要素と珠玉の恋愛小説としての側面をあわせ持つ、第36回横溝正史ミステリ大賞受賞作です。
💡 おすすめポイント・見どころ 死者をAIとして再構築するという現代的なテーマと、切ないラブストーリーが見事に調和しています。過去の謎を追うミステリとしての読み応えと、登場人物たちの感情の揺らぎが胸を打ちます。
十二人の死にたい子どもたち
第 16 位 46

十二人の死にたい子どもたち

廃病院に集まった十二人の少年少女の目的は全員一致で安楽死を実行することでした。しかし決を取り実行しようとした病院のベッドには、予定外の十三人目の少年の死体が横たわっていました。彼は何者でなぜここにいるのかという誰もが抱く疑問から、「実行」を阻む問題が生じます。十二人は議論を重ねながら互いの思いを交錯させ、最終的な結論へとたどり着こうとします。
💡 おすすめポイント・見どころ 限られた密室空間の中で繰り広げられる巧みな会話劇と、次々と明かされる少年少女たちの秘密が秀逸です。心理戦のスリルを味わいながら、命の意味について深く考えさせられる構成になっています。
彼女がエスパーだったころ
第 16 位 46

彼女がエスパーだったころ

百匹目の猿、エスパー、オーギトミー、代替医療など、人類の叡智である科学では捉えきれない超常現象を通して人間を再発見する短編集です。デビューから二作連続で直木賞候補に挙がった新進気鋭の作家が、進化や科学や未来という人類のテーマを独自の視点で描きます。吉川英治文学新人賞を受賞した、SFの枠を超えて人間の本質に迫るエンターテインメント作品です。
💡 おすすめポイント・見どころ 科学では説明できない現象を題材にしながら、人間の本質や愚かさを鮮やかに切り取る手腕が冴え渡ります。発想のユニークさと文章のキレの良さが相まって、ページをめくる手が止まらなくなります。
ガラパゴス (上)
第 19 位 44

ガラパゴス (上)

警視庁捜査一課継続捜査担当のメモ魔な窓際刑事・田川信一は、同期の木幡祐司に依頼されて身元不明相談室の死者リストに目を通し、自殺として処理された案件に他殺の痕跡を見抜きます。発見現場の団地で「新城も」「780816」と書かれたメモを発見した田川は、不明者リストの男が沖縄県宮古島出身の派遣労働者・仲野定文であることを突き止めました。遺骨を届け犯人の手掛かりを得るため宮古島へ飛んだ田川は、日本中を転々としていた男の過酷な背景に直面します。
💡 おすすめポイント・見どころ 現代社会が抱える格差や労働問題の闇をミステリの枠組みを通じて鮮烈に浮かび上がらせています。地道な聞き込み捜査から社会の構造的欠陥へと迫っていく過程が、強いリアリティを持って描かれています。
図書館の殺人
第 20 位 42

図書館の殺人

期末テスト中の慌ただしい9月、風ヶ丘図書館の閉館後に侵入した大学生が山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺される事件が発生します。現場には一冊の本と謎のメッセージが残されており、警察に頼まれた裏染天馬が独自の捜査を始めることになりました。ダイイングメッセージの意味を解き明かすため、裏染天馬がロジカルな推理を展開していきます。巧みなプロットで読者を魅了する〈裏染シリーズ〉の第4弾です。
💡 おすすめポイント・見どころ 限られた状況証拠から論理の糸を紡ぎ出し、鮮やかに真相を導き出す過程の美しさが光ります。パズルとしての完成度が非常に高く、本格ミステリとしての醍醐味を存分に堪能できる一冊です。
猫には推理がよく似合う
第 20 位 42

猫には推理がよく似合う

弁護士事務所の事務員・花織は、おしゃべりする猫のスコティから殺人事件の推理合戦を仕掛けられます。ダイヤや遺言書などを巡り妄想を膨らませていたふたりですが、なぜか現実の事件が本当に起きてしまいます。現実の謎としゃべる猫の真実とは何なのでしょうか。猫愛あふれる本格推理の世界を存分に楽しめる物語です。
💡 おすすめポイント・見どころ 気高く少し生意気な猫と人間が繰り広げるコミカルかつ本格的な謎解きが大きな魅力です。現実と妄想が交錯する中で展開される推理の妙は、ミステリファンを唸らせます。愛らしい相棒の存在が事件の重みを絶妙に和らげ、心地よい読後感をもたらしてくれます。
松谷警部と向島の血 (創元推理文庫)
第 22 位 41

松谷警部と向島の血 (創元推理文庫)

両国国技館の近くで、胸部を刺された十両力士の遺体が発見されます。現場には相撲道に悖るというメッセージの紙片が残されており、その後も同様の事件が連続して発生します。三件すべての事件にアリバイのない者はおらず、動機やメッセージの真意も分からないまま定年の日が迫ります。白石巡査部長が苦心惨浹の末に辿り着いた驚愕の真相とは一体何なのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 相撲界という狭く特殊な社会を舞台に、人間関係の機微と緻密なアリバイ崩しを融合させた巧みな構成が光ります。迫りくる定年のタイムリミットが物語に心地よい緊張感を与え、捜査員たちの執念が見事に描かれています。シリーズの完結編として、特別ゲストも交えた見応え抜群の人間ドラマです。
分かれ道ノストラダムス
第 23 位 37

分かれ道ノストラダムス

高校生のあさぎは、急逝した友人・基が遺した日記をきっかけに、彼が死なずに済んだ可能性を探り始めます。クラスメイトの八女とともに基の死の直前の行動を再現するふたりの影には、不穏な動きを見せる新興宗教団体の存在がありました。終末思想に影響された教団の動きとあさぎたちの目的は思いもよらぬ形で交わり、彼らは歪な世界で運命の分岐点に立たされることになります。
💡 おすすめポイント・見どころ 過去の死を乗り越えようとする青春の葛藤と、不気味な新興宗教の影が絡み合うサスペンスフルな展開に引き込まれます。不可解な死の謎を追うジュブナイルとしての爽やかさと、社会の歪みがもたらす不穏な空気感が絶妙なバランスで共存しています。選択の連続によって未来を変えようとする等身大の姿が胸を打つ一冊です。
アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ アC 1)
第 24 位 36

アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ アC 1)

異形が蠢く19世紀末のヨーロッパで、人類親和派の吸血鬼が銀の杭に貫かれ惨殺される事件が発生します。事件の解決に挑むのは、首だけの探偵・輪堂鴉夜と、奇妙な鳥籠を携えた男・真打津軽でした。彼らは残された手がかりや怪物としての特性を武器に、鮮やかに推理を導き出します。自らの体を取り戻すためにヨーロッパ各地を巡る、謎に満ちた悪夢のような笑劇の幕が上がります。
💡 おすすめポイント・見どころ 首だけの美少女探偵と半人半鬼の相棒という、圧倒的なキャラクター造形と世界観の構築が際立っています。化け物たちが持つ特性を論理的な推理へと昇華させる手腕は鮮やかで、エンタメ性と本格ミステリとしての質の高さを両立させています。軽妙な掛け合いの中に潜むブラックなユーモアも大きな魅力です。
遠い唇
第 25 位 34

遠い唇

コーヒーの香りに包まれる学生時代の記憶や、宇宙人たちが地球の名著を解釈する奇妙なエピソードなどが描かれます。さらに、アメリカ人大学教授の他殺死体を目撃した作家が名探偵に助けを求める事件なども収録されています。主人公の寺脇と女性編集者である瀬戸口まりえの出会いや再会を経て、句を介して関係が始まっていく様子までが丁寧に紡がれます。
💡 おすすめポイント・見どころ 日常の些細な一コマや淡い記憶の中に潜むミステリーを、北村薫ならではの優しく知的な筆致で描き出しています。登場人物たちの心情の機微がリアルに表現されており、ページをめくるたびに穏やかな感動が広がります。短編の名手による、人生の美しさと哀しさが詰まった見事なアンサンブルです。
屋上の道化たち
第 26 位 33

屋上の道化たち

まったく自殺する気がない男女が銀行ビルの屋上に次々と上がり、不可解な飛び下り死を遂げる事件が発生します。屋上の呪いをめぐる謎を解き明かすため、名探偵・御手洗潔が事件に挑みます。読者への挑戦状も組み込まれ、本格ミステリーの醍醐味を存分に味わえるシリーズの記念すべき作品です。
💡 おすすめポイント・見どころ 圧倒的な奇抜さと論理性が同居する、島田荘司ワールドの真骨頂を堪能できます。次々と起こる不可解な現象に対して、名探偵が独自の視点から鮮やかに切り込んでいくプロセスは非常にスリリングです。読者への挑戦という本格推理ならではの仕掛けが、ミステリファンの知的好奇心を刺激します。
クララ殺し (創元クライム・クラブ)
第 27 位 31

クララ殺し (創元クライム・クラブ)

大学院生の井森建は、自分が不思議の国に棲む蜥蜴のビルになる妙な夢をよく見ていました。ある夜、夢の中で出会った車椅子の美少女クララと同じ名前の少女が、翌朝の大学門前に現れます。彼女は命を狙われていると助けを求めてきますが、現実と夢の世界が交錯する中で冷酷な殺人ゲームが幕を開けます。
💡 おすすめポイント・見どころ 現実と夢の境界が曖昧になるメタフィクショナルな構造と、容赦のないサスペンス描写が見事に融合しています。アリスの物語を下敷きにしつつ、ダークで歪んだ世界観へと昇華させる手腕は見事の一言に尽きます。論理と狂気が入り交じる独特の読書体験をもたらしてくれます。
去就: 隠蔽捜査6
第 27 位 31

去就: 隠蔽捜査6

大森署管内で女性が姿を消した直後、交際相手とみられる男が猟銃を所持したストーカーによって殺害されます。署長の竜崎伸也は的確な指示を出して捜査を指揮しますが、ノンキャリアの方面本部長が横槍を入れてきます。やがて竜崎のある命令が警視庁内で問われる事態へと発展していく中で、組織のあり方が鋭く問われます。
💡 おすすめポイント・見どころ 警察組織内部のリアルな権力闘争と、ブレない主人公・竜崎の圧倒的な仕事ぶりが物語に強い推進力を与えています。組織の論理と個人の正義の間で揺れ動きながらも職務を全うする姿は、多くの働く人々の共感を呼びます。無駄を削ぎ落とした硬質な文章で描かれる、警察小説の傑作です。
わたしの隣の王国
第 29 位 30

わたしの隣の王国

高校を卒業したばかりの空手少女・杏那と研修医の優は、人気テーマパークでデートを楽しんでいました。しかし、突然発生した異変により、ふたりは現実と魔王から世界を守る魔法の世界という別々の世界に引き裂かれてしまいます。パークでの密室殺人事件の謎を解き、杏那を見つけ出そうとする優の戦いが始まります。
💡 おすすめポイント・見どころ ファンタジーの世界と現実のテーマパークという二つの空間を結びつけた、驚異的な密室トリックの構成が光ります。パズル的な論理展開とマジカルな要素が見事に噛み合い、読者を翻弄します。ミステリー愛に満ちた仕掛けの数々が、謎解きの楽しさを極限まで高めています。
金田一耕助、パノラマ島へ行く (角川文庫)
第 29 位 30

金田一耕助、パノラマ島へ行く (角川文庫)

伊勢湾の南端に浮かぶパノラマ島に、同級生に誘われて金田一耕助が足を踏み入れます。風光明媚な土地にありながら、廃墟のような威容を誇る建物が建ち並ぶ島で、数々の不穏な殺人事件が発生します。金田一耕助はこの異様な環境で巻き起こる難事件をどのように解決へと導くのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 江戸川乱歩のパノラマ島奇譚の世界観を受け継ぎつつ、名探偵・金田一耕助の推理劇として鮮やかに再構築されています。怪奇性と本格推理が絶妙にブレンドされた舞台設定は、読む者の想像力を深く刺激します。オマージュと独自の謎解きが見事に融合したエンタメ作品です。
雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)
第 29 位 30

雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)

子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎は、相撲好きのカエルの神様が崇められている村でした。村を治める一族の娘・真夏と喋るカエルに出会った僕は、知恵と知識を見込まれ、外来種のカエルとの相撲勝負を手助けすることになります。さらに隣村で死体が発見され、もつれ合った事件は思わぬ方向へと進んでいくのでしょうか。神様と相撲、そして殺人事件が絡み合う奇想天外な物語が幕を開けます。
💡 おすすめポイント・見どころ カエルの神様と相撲をとるというシュールな設定でありながら、本格的なミステリー要素がしっかりと組み込まれている点が非常にユニークです。クスッと笑えるコミカルなやり取りと、二転三転する事件の真相解明が見事に融合しており、最後まで飽きることなく夢中で読み進められます。
亡者たちの切り札
第 32 位 29

亡者たちの切り札

バブル崩壊で巨額の負債を抱えた自動車修理工の氏家豊は、愛車のマスタングで夜を走る最中、何者かに拉致された旧友・五十嵐の娘を救い出します。しかし、自らも凶禍に遭った氏家のもとへ、銀行員の五十嵐から不正融資を強いられたという告発を残して失踪するという連絡が入ります。マスタングの持ち主である料亭の女将にも危機が及び、真相を追うトラブルがさらに飛び火していくのでしょうか。政界の闇や拉致事件の真相を暴くハードボイルド小説です。
💡 おすすめポイント・見どころ 時代の光と闇をリアルに描き出す筆致が、物語に圧倒的な緊迫感をもたらしています。次々と降りかかるトラブルに立ち向かう登場人物たちの泥臭い生き様や、スピード感あふれる展開が男臭い魅力を放っており、大人のためのエンターテインメントとして深く心に響きます。
慈雨
第 33 位 28

慈雨

十六年前の幼女殺害事件と酷似した事件が再び発生し、かつて刑事として捜査にあたった神場は、すでに退職した身でありながら現在の事件を追い始めます。消せない罪悪感を胸に抱えながら事件の真相を追う元警察官の姿は、どこへ向かうのでしょうか。過去の記憶と現在の事件が交錯する中で、人間の業と向き合う男の魂の彷徨を描き出します。
💡 おすすめポイント・見どころ 元警察官が抱える拭えない後悔と罪悪感を軸に、人間の内面を深くえぐり出す心理描写が素晴らしく秀逸です。単なる謎解きにとどまらず、事件に関わる人々の人生や痛みが重層的に描かれているため、読後には深い余韻と切なさが残ります。
Dの殺人事件、まことに恐ろしきは
第 34 位 26

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

渋谷の道玄坂でカメラマンの私が交流するようになった生意気な少年・聖也と話していた矢先、向かいの薬局で上半身裸の女性が倒れている事件が発生します。ふたりは事件を探り始めますが、私はあることに気づいてしまい、もう元の世界には戻れなくなってしまいます。江戸川乱歩の名作群を最先端テクノロジーでアップデートし、数々の名作を現代の舞台へと鮮やかに蘇らせています。
💡 おすすめポイント・見どころ 乱歩の古典的名作が現代のスマホやテクノロジーと巧みに融合されており、原典の不気味さを損なうことなく新たな輝きを放っています。本格ミステリ界随一のトリックメーカーによる鮮やかな翻案によって、読者は何度となく意表を突かれる快感を存分に味わえます。
倒叙の四季 破られたトリック (講談社ノベルス フK- 5)
第 34 位 26

倒叙の四季 破られたトリック (講談社ノベルス フK- 5)

懲戒免職処分となった元警視庁の刑事が作成した完全犯罪完全指南の裏ファイルを入手し、それぞれに完全犯罪を目論む四人の殺人者たちが現れます。春は縊殺、夏は溺殺、秋は刺殺、冬は氷密室での中毒殺という計画を実行し、心証は黒くても物証さえ掴ませなければ逃げ切れると考えた犯人たちの偽装工作を、捜査一課の海埜刑事はどう切り崩していくのでしょうか。犯人たちが犯してしまった思わぬミスとは何だったのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 犯行が最初に明かされる倒叙形式でありながら、細部に仕掛けられた論理的な矛盾や微細な物証を見つけ出す知的興奮が満載です。犯人たちの周到な計画と刑事の鋭い洞察力がぶつかり合う頭脳戦のプロセスが、見事な構成力で描き出されています。
横溝正史探偵小説選 5 (論創ミステリ叢書 100)
第 34 位 26

横溝正史探偵小説選 5 (論創ミステリ叢書 100)

幻の絵物語である探偵小僧の絵と共に完全復刻を実現させ、雑誌連載版の不死蝶から異色のナイチンゲール伝までを網羅しています。巨匠の残した数々の拾遺集をたっぷり収めたシリーズの第五弾として、ファン垂涎の貴重な資料や作品の数々が蘇ります。日本探偵小説史を彩る名手の足跡を深く辿ることができる一冊です。
💡 おすすめポイント・見どころ 埋もれかけていた貴重な初期作品や幻のビジュアルが丹念に掘り起こされており、資料的価値が非常に高い構成になっています。巨匠が紡ぎ出す独特のロマンあふれる筆致やストーリーテリングの原点をたっぷりと堪能することができます。
サブマリン
第 37 位 25

サブマリン

家裁調査官の陣内と武藤が、新たな少年たちの問題に向き合いながら奔走する物語が展開されます。事件が起きる時は起きるし起きない時は起きないと言い放つ破天荒な陣内に振り回されながらも、少年たちの更生を見つめる日々が描かれます。家庭裁判所を舞台に、ひと癖もふた癖もある調査官たちが織りなす人間模様の行方とはいかに。
💡 おすすめポイント・見どころ 常識にとらわれない強烈なキャラクターである陣内のユーモアあふれる言動と、周囲の人々との絶妙な掛け合いが大きな魅力です。軽妙な会話劇の裏側に隠された、少年たちの揺れ動く心や社会のリアルな問題が温かい視点で丁寧に描かれています。
夜の淵をひと廻り
第 37 位 25

夜の淵をひと廻り

職務質問と巡回連絡をこよなく愛し、管轄内で知らないことがあるのを許さない通称・シド巡査のもとには、なぜか奇妙な事件ばかりが舞い込みます。魔のバトンが渡されたような通り魔事件や過剰すぎる世帯数のロッジ、未解決のシリアルキラーといった影が、普通の人々が暮らす街の片隅にひそかに口を開けています。悪意のスパイラルを追い続けた果てに、シド巡査がたどりつく衝撃の結末とは何でしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 一見すると風変わりな交番警察官の視点を通して、日常に潜む底知れない悪意や狂気がリアルに浮かび上がってくる構成が実に秀逸です。ユーモラスな日常描写から一転してダークなサスペンスへと転換するスリリングな展開が、物語の没入感を大きく高めてくれます。
新任巡査
第 39 位 24

新任巡査

二十二歳の上原頼音は、今日から警察官として初めての二十四時間交番勤務に挑みます。立番や職務質問、無線の使い方など、指導員から厳しい叱責を受けながら組織で働く社会人としての心構えをたたき込まれていきます。そんな新米巡査の慌ただしい日常の裏側に、少女連続行方不明事件の手がかりが少しずつ潜んでいくのですが、彼女の奮闘の先に何が見えてくるのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 警察官としてのリアルな日常業務や過酷な訓練の様子が、圧倒的な熱量とディテールで描かれている点がとても魅力的です。新人ならではの戸惑いや成長のプロセスを追体験しながら、事件の謎へと迫っていく社会派のエンターテインメントに仕上がっています。
明日の食卓
第 39 位 24

明日の食卓

環境も年齢もまったく異なる三人の母親たちは、それぞれ八歳の息子を育てる中で、些細なことがきっかけとなり幸せだったはずの生活が少しずつ崩れていきます。無意識のうちに子どもに向けてしまう苛立ちや暴力の連鎖に苦しみながら、普通の家庭に潜む光と闇に直面していきます。母親たちが迎える明日の食卓の風景はどのようなものに変貌してしまうのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 誰もが直面しうる育児の孤独やストレス、母親の葛藤をリアルかつ容赦なく描き出した筆力が光ります。綺麗事だけでは済まされない家庭の裏側を生々しく表現することで、現代社会における家族のあり方について深く考えさせられます。
クロコダイル路地1
第 41 位 23

クロコダイル路地1

1789年7月14日、民衆によるバスティーユ監獄襲撃を発端に、フランス全土へ争乱の炎が燃え広がります。帯剣貴族の嫡男、大ブルジョアの青年、そして日雇いで食いつなぐ平民たち。激動の〈革命〉によって変転していくそれぞれの運命とは何なのでしょうか。上巻では貿易都市ナントを舞台にしたドラマが展開されます。歴史の大きなうねりと巧妙な仕掛けが交錯する、壮大な叙事詩的物語に深く耽溺することができます。
💡 おすすめポイント・見どころ 圧倒的な筆力で描かれる歴史のうねりと、巧妙に張り巡らされた伏線の数々が大きな魅力です。登場人物たちが革命の嵐の中で翻弄される姿は、読者に強いリアリティをもたらします。歴史小説の醍醐味を存分に味わいたい方にぴったりの仕上がりとなっています。
籠の鸚鵡
第 41 位 23

籠の鸚鵡

欲望と殺意の果てに現れる、むき出しの人間の姿を描いた迫真のクライムノヴェルです。ヤクザ、ホステス、不動産業者、そして町役場の出納室長といった面々の思惑が複雑に絡み合い、互いを取り返しのつかない地点へと追い詰めていきます。情事と裏切り、そして二つの巧妙な殺人の後、彼らの目に映った世界とはどのようなものだったのでしょうか。バブル期の和歌山を舞台に、怒濤のスリルが交錯します。
💡 おすすめポイント・見どころ バブル期特有の熱気と退廃的な空気が、物語全体に独自の陰影を与えています。錯綜する登場人物たちの欲望が思わぬ方向へ転がっていく過程の描写が非常に巧みです。スピーディな展開の中に静謐な思索が漂う、極上のサスペンスを楽しめます。
ブロッケンの悪魔 南アルプス山岳救助隊K-9
第 43 位 22

ブロッケンの悪魔 南アルプス山岳救助隊K-9

南アルプスの北岳山荘が突如として武装集団に制圧されるという、国家を巻き込んだ恐るべきテロ事件が勃発します。超大型台風の到来によって警察も自衛隊も接近できず、完全なる陸の孤島と化した山岳地帯。絶望的な状況下で極限のサバイバルが幕を開けます。果たして、テロリストたちの真の目的は何なのでしょうか。そして、孤立した山に取り残された人々を待ち受ける運命とは一体何なのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 圧倒的な大自然の描写と、息もつかせぬ銃撃戦のコントラストが際立っています。極限の環境下で繰り広げられる人間ドラマが、物語の緊迫感を何倍にも膨らませています。圧倒的なスケール感で展開されるアクション小説の醍醐味を堪能できます。
蜃気楼の犬
第 43 位 22

蜃気楼の犬

正義などどうでもいいと語る県警本部捜査一課のベテラン刑事・番場は、身重の若い妻を愛し日々の捜査を続けています。周囲から現場の番場と賞賛と揶揄を込められつつ、ルーキーの船越とともに難事件の捜査に奔走します。次々と降りかかる難問に向き合う中で、彼は自らの正義を見失っていきます。江戸川乱歩賞作家が紡ぎ出す、新世代の連作警察小説の行方とはどうなるのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 主人公が抱える歪んだ愛着と正義感のズレが、物語に独特のサスペンスを生んでいます。一話ごとに事件を解決しながら、底流にある不穏な空気が徐々に大きくなる構成が秀逸です。従来の刑事像を覆すダークな魅力に満ちた群像劇となっています。
香住春吾探偵小説選 1 (論創ミステリ叢書 93)
第 43 位 22

香住春吾探偵小説選 1 (論創ミステリ叢書 93)

関西探偵作家クラブの重鎮であり、ユーモアミステリの系譜をしっかりと受け継ぐ作家による待望の初作品集です。名探偵・片目珍作君が縦横無尽に難事件へと乗り出していきます。日本探偵小説史のなかに埋もれていた貴重な作品群が、現代に鮮やかによみがえります。独自のユーモアとエスプリに満ちた世界観の中で、奇想天外なトリックや事件の数々がどのように解決されていくのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 現代のミステリではなかなか味わえない、独特のユーモアとレトロな空気感が大きな魅力となっています。軽妙な語り口の裏に隠されたアイデアの面白さが際立っています。失われた黄金期のミステリ文化を発見する喜びを感じられます。
ガンルージュ
第 46 位 21

ガンルージュ

韓国最凶の特殊部隊が日本へ潜入し、要人の拉致作戦を実行するという事件が発生します。その抗争に巻き込まれ人質となってしまった中学一年生の少年。政府と警察が事件の隠蔽を図る中、少年の母親である元公安の女性と、ワケありの女性体育教師という異色のバディが息子の救出へと立ち上がります。因縁の敵との死闘の果てに、母子を待ち受ける結末はどうなるのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 圧倒的な戦闘スキルを持つ女性たちの痛快なコンビネーションが物語を強力に牽引します。緊密に構築されたアクションシーンの連続が、読者のアドレナリンを刺激します。エンターテインメントの技術が隅々まで注ぎ込まれた熱い仕上がりです。
人ノ町
第 46 位 21

人ノ町

各地に点在し、それぞれ独自の意匠を凝らした遺された町々。かつて世界があったその場所で、一人の旅人が不思議な町を訪ね歩きます。彼女は自身の意志とは無関係に、様々な奇妙な出来事や人々との出会いを重ねていきます。やがてそれらの断片がつながり、一つの大きな像となってこの世の真実を描き出していきます。本書のなかで、いったい何が起こっているのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 奇妙でどこか切なさを伴う世界の造形が、独自の読書体験をもたらします。旅の行く先々で提示される謎が、少しずつ大きなテーマへと収斂していく構成が見事です。論理を超えた世界の美しさに浸ることができる一冊です。
モナドの領域
第 48 位 20

モナドの領域

河川敷で若い女性の腕が発見された事件を発端に、近隣のベーカリーでアルバイトをする美大生が精巧な腕形のバゲットを作ります。それを店の常連である美大教授が新聞コラムで取り上げたことから、奇妙な波紋が広がっていきます。教授は公園で人を集め、自らを全知全能の存在であると示し始めます。神の上の創造主を自称する教授の真意と、バラバラ殺人の真相とは何なのでしょうか。
💡 おすすめポイント・見どころ 現実と虚構の境界線が曖昧になる筒井ワールドの真骨頂が発揮されています。現代社会の狂気を鋭く抉り取るようなブラックユーモアが全編に満ちています。圧倒的な知的興奮をもたらす歴史的傑作の重みを実感できます。
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